日本の家はむかしから、自然と向き合うかたちで造られてきました。風通しを良くしたり、光を取り入れる工夫が随所に見られ、同時に空間の可変性も実現していました。そうした家づくりの知恵を現代に活かそうとするのが「オープンプランニング」という思想です。限られた空間をより有効的に活用し、ゆとりある開放感を住まいに提供します。
住まいの中で廊下の占める割合は以外に大きいものです。そのスペースを合わせると、ひと部屋分の広さにもなります。また、客間にしても一年に使う回数は数えるほどしかありません。こうした"必要でいて、そうでもない"スペースを居室にうまく取り込み「間と間をつなぐこと」で、ゆとりある空間を創造するのがオープンプランニングの根本思想です。
私たちの考える"良い設計"は自然の風や光を取り込み、空調設備のような機械だけに頼らない家づくりを行ないます。例えば、余分な廊下や間仕切りをなくして風の通り道を作る、吹き抜けを利用して家の奥まで光を取り込む・・・・。その上で日本海側地域の日照時間の少なさを考え、暖房などの設備(床下土間蓄熱輻射暖房)を充実させて自由な間取りを実現します。
かつて日本の民家は何代にもわたって住み継がれてきました。それは部屋を個室化せずに建具で仕切り、必要な時に必要な大きさを間仕切りに変えられる可変性があったからとも言えます。しかし、現代の家は個室化が進み、生活の変化や家族の成長に対応しにくい面があります。例えば、子ども部屋が本当に必要とされるのは数年間です。わたしたちの家づくりではかつての可変性を取り戻すことで、快適な生活空間を創造します。オープンといってもプライバシーを無視しているのではありません。プライバシーとは、家族空間の先にあるもの(家族空間を通ってから至る場所)と考えております。